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第4回 アッヴィ アートプロジェクト
「PERSPECTIVES(パースペクティブズ)」
受賞作品詳細 ・受賞者コメント

■最優秀賞(1名)

中島 早希(なかしま さき)さん
潰瘍性大腸炎 福岡県在住 11歳

作品タイトル:「Diversity」(絵画)

●受賞者コメント

このような賞をいただけて、とてもうれしいです。いつも治療をしていただいている先生が、私が絵を描くことが好きだと知っていて、このプロジェクトを紹介してくださいました。入院中に、描いた絵や、工作を、毎日楽しみにしてくださって、私も作るのが楽しかったです。そんな優しい病院の皆さんのおかげで、今でも毎日絵を描いて楽しんだり、前からやりたかった合気道を習い始めたりして、元気に過ごしています。将来は、お世話になった先生のようなやさしい小児科医になって子どもたちを助けたいです。

●審査員 講評(五十音順):

北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター
特別顧問 日比 紀文 先生

病気が始まった時の驚きと入院は大変なことだったでしょう。しかしこれを通じて、担任の先生の「さきちゃんのおかげでクラスがまとまったよ。ありがとう」のお言葉や、「人々が助け合って一つの社会を作れる」と感じたこと、その気持ちが鮮やかな色を使って明るく描かれ、この絵によく現れています。
ご自身の病気を乗り越えて、皆と一緒に明るく前に向かって進んで行こうとするお気持ちがよく表現されていて、素晴らしい作品となっています。患者さんに合った治療法を適切に使用することにより、多くの患者さんが普通の日常生活を送ることができるようになってきました。これからも病気を乗り越えて、大人になって社会の中で明るく暮らしていける将来になると確信しています。

 

獨協医科大学医学部小児科学  主任教授  吉原 重美 先生

最初にこの作品を見たときに、カラフルな動物や植物がユーモラスで優しい笑顔で描かれていて、とても惹かれるものがありました。タイトルのとおり、本絵画は世の中にはさまざまなヒトがいる多様性の中、お互いに助け合うことで、より良い社会を築くことができることを考えさせる素晴らしい作品です。病気であることは辛いことですが、その経験から優しさや強さを学ぶことができ、それが将来の仕事や人生に、きっと生かされる前向きなメッセージを感じました。違いがあふれる世界で、互いに認め合い、尊重し合い、助け合うことによって、みんなが笑顔になれるという作者の強い思いが伝わってくる素敵な作品だと思います。

■優秀賞(1名)

岩本 紗和(いわもと さわ)さん
若年性特発性関節炎(小児リウマチ)、非感染性ぶどう膜炎 茨城県在住 10歳

作品タイトル:「Colorful(からふる)」(絵画)

●受賞者コメント

私の作品を選んでいただきありがとうございます。
私は赤ちゃんの頃から病気で、たくさん歩いたり、走ったり、ジャンプしたりすることができませんでした。
去年は調子のいいときがあって、体育の授業で運動をすることができたときがありました。
走ったりはできなかったけど、友達と一緒に運動できて楽しかったです。
この作品は、運動できる楽しさやうれしさを絵にしたものです。
絵の中の私は楽しくてジャンプをしています。絵の中の私のように動けるようになりたいです。
今は調子がずっと悪くて、歩けないし、えんぴつも箸も持てません。学校もたくさん休んでしまっています。
学校に行ったときは、先生や友達にたくさん助けてもらっています。
とてもうれしいけど、申し訳ない気持ちもあります。
早く元気になって、たくさんお返しをしたいです。

●審査員 講評:美術家 佐久間 あすか さん

明るい色調を画面いっぱいに使って描かれていて見ているだけでとても元気になる作品です。コラージュの表現に工夫が見られ作風がとても個性的でした。
この作品の見所は、抽象表現でありながら、多くの要素が表現されており、それらが全体的に一つのメッセージを発しているところです。中央にいる女の子は作者でしょうか。明るく元気に虫や動物たちと飛び跳ねていますね。大きな光の輪の中で遊んでいる様子は、とても楽しそうです。この絵からは、誰もが自由に元気で暮らしたいという思いが伝わってきます。
闘病しながらの制作はとても大変だったと思います。しかし、アートは自分の思いを伝えたりするだけでなく、他人を楽しくさせたり勇気づけたりしてくれます。これからも沢山の作品を作って周りの方々を幸せにしてください。

■審査員賞(3名)

松本 彩子(まつもと さいこ)さん
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP) 千葉県在住 46歳

作品タイトル:「足と光」(絵画)

●受賞者コメント

この度は、素晴らしい賞を頂きましてありがとうございます。
私は、8年前の出産と同時に突然全身に力が入らなくなりました。
診断は、約十万人に一人の病で、慢性炎症性脱髄性多発神経炎という難病でした。
医療関係の方々や家族など、たくさんの方々のおかげで現在は力も入り、普段は家族と楽しく暮らしております。しかし足の痛みは日毎増し、割れたガラスの上を裸足で歩いている感覚で、更にその足を焚き火に焚べられている様な日常です。
今回の作品は、その「痛み」の現実をダイレクトに表現してみました。
決してネガティブな感情ではなく、事実をそのまま描いてみました。
私にとっての痛みは友達であり、私自身です。つまりは自画像のようなものになったと思います。
日頃、痛みを言葉にしないよう努めていますので、この度の出展で思いっきり「痛―――――い!」と叫ぶ事ができた気がします。
皆さん様々な病を抱えて生きていらっしゃると思います。個々の不都合さを他人が計り知ることは難しいです。私も難病になるまで目を向けられていませんでした。
今回の絵で「ああ、こんな人もいるんだな」と思っていただければ嬉しいです。
叫ばせて頂きまして、ありがとうございました!
足先の電球のように皆様に光が灯りますように。

●審査員 講評:NPO法人 東京乾癬の会P-PAT 理事 鈴木 兼次 さん

この作品を見た時とても共感を覚えました。病気は違いますが私自身も関節と足の裏の痛みで普通に歩くことも苦痛だった時期があり、その時の自分の気持ちを表しているようだったからです。突然10万人に一人の難病に罹り、産んだ我が子も抱けない状態に陥ってしまった作者のお気持ち、想像を絶するものがあります。日々足の痛みと闘いながらの生活、たくさんつらい思いをされているのにその「痛み」を受け入れて生きる強さを感じます。医療関係者をはじめとする周りの方の暖かさや希望を足先の光によってうまく表現されていると思います。新しい治療法などが開発されこの光がより大きなものになることを願います。

三尾 希(みつお のぞみ)さん
全身性エリテマトーデス 千葉県在住 28歳

作品タイトル:「sparkle(スパークル)」(工芸)

●受賞者コメント

この度はこのような賞をいただき、誠にありがとうございます。
私は4年前から「全身性エリテマトーデス(SLE)」を患っています。
通院時、袋いっぱいに渡される薬に辟易したり、副作用に悩まされたりもしますが、薬は私にとって心強い存在です。
この作品は、私が飲み終えた薬のシートを、輝く宝石に見立ててジュエリーにしたものです。作品名の「sparkle(スパークル)」は「輝き」という意味のほかに、「生き生きとした」という表現にも使われます。私にとっての薬のイメージを作品にしました。私が今こうして生き生きと活動できているのは、医療の進歩と、理解し支えて下さる方々のおかげです。
この作品を通して、私と同じ服薬が欠かせない人達に、薬についてポジティブに捉えていただけたら嬉しいです。

●審査員 講評:若年性特発性関節炎親の会 あすなろ会 事務局担当理事  牧 美幸 さん

この作品をまず拝見した感想は、きれいなアクセサリーを製作されておられるなという思いでした。しかし、よくよく拝見すると、全て飲み終えた薬のシートで作製されていました。病に向き合っておられる患者さんとして、一番大切な薬との共存です。未だ根本治療のない病気。暗いトンネルの中、光を求めて、もがき苦しまれたんだと思います。大切な薬を輝くアクセサリーに見立て、前向きに生きておられる気持ちが伝わってきます。このアクセサリーと共に是非とも自分を輝かせてください。

山本 和男(やまもと かずお)さん
関節リウマチ、若年性特発性関節炎(小児リウマチ) 鳥取県在住 65歳

作品タイトル:「雪中花」(版画)

●受賞者コメント

若年性リウマチを発症したため、就学とその後の就労が大変でした。症状の消えた時期もありましたが、大方の生活は痛みと共にありました。我が家は朝が早い鮮魚店でしたが、自転車の荷台に乗せてもらい、毎日小学校の送り迎えをしてくれた母。忙しい中、情報を得て鍼灸など、いろいろな治療法を求めて県外へも連れて行ってくれました。当時を振り返ると胸が締め付けられます。
友の会で今の主治医と出会い、寄り添いながら治療していただいています。そして、周囲の人との関わりが、日々生活の支えになっています。
現在は、障がい者や障がい児の支援業務につかせていただいています。周りからは、「自分の体をもっと大切にするように」と心配をかけています。自らが原因で消耗し痛みで落ち込む日もありますが、おかげで回復してくれます。
今、免疫介在性炎症性疾患の患者を取り巻く環境は、薬と治療の進歩、そして医療スタッフの方々の優しい声掛けなど、とても明るい。決してあきらめることなく希望を持ち続けること。受賞の知らせをいただいた後の通院途中、五月の新緑と青空をみながら希望を持つことの大切さを思いました。
最後になりましたが、このプロジェクトに応募させていただいたことで、これまでの暮らしや心情をあらためて振り返ることができました。応募を勧めてくださった主治医に感謝申し上げます。ありがとうございました。

●審査員 講評:日本AS友の会 副会長 山下 昭治 さん

明るく色彩豊かな作品も見受けられる中、物静かにやや暗く陰鬱な感じも受ける作品でした。若くして発症、作者の人生を包み込んできた病との共生が、色濃く画風に投影されているのかと思ったり、厳冬に踏まれても手折れても健気に咲こうとする「雪中花」を必死に下支えしようとしている作者のお顔に、作品の真ん中(やや下)のお花が見えたり・・、「雪中花」と共に生きようとする強い生命力を感じさせられました。
一番寒い過酷な時期にひっそりと咲く水仙の花を、希望の花と感じられる作者の感性が生み出した作品に違いないと思ったことでした。
私も間もなく喜寿、病との暮らしも60年を過ぎました。作者の作品に力を頂いて、もう少し頑張らねばと改めて思わされました。

■佳作(5名)

らくだ(仮名)さん
潰瘍性大腸炎 東京都在住 47歳

作品タイトル:「ちいさな しあわせ」(絵画)

●受賞者コメント

この度は、素晴らしい賞を誠にありがとうございます。私が潰瘍性大腸炎と診断を受けたのは、もう8年前です。自分の人生を悲観した日々もありました。でもその後、ご縁があり結婚し、さらにはかわいらしい子ども2人にめぐまれました。こんな幸せが訪れることを当時は想像できませんでした。今は、何でもない毎日を大切に、そして病気とも戦う強い自分になりました。この受賞を通し、一人でも難病に苦しむ方に、細やかな希望をお届けできれば、これほど幸せなことはございません。

●審査員 講評:NPO法人 IBDネットワーク 理事長 秀島 晴美 さん

子どもたちとお母さんのお昼寝を描いたこの作品に強く惹きつけられました。あたたかな色彩と三人の表情がとても素敵で、絵から幸せが溢れ出てくるかのようでした。細かく描き込まれた布団の布地にも目がいきましたが、作者のエピソードを読んで、それも思い入れがあったからだと納得しました。大切な二人の子どもたちが、お母さんが大切にしてきた布地を使って作った布団で安心しきって眠っている姿は、かけがえのない日常そのものですね。辛い病気の体験があるからこそ、何気ない日常のひとコマひとコマに幸せを感じることができるのだと思います。私もこの絵を見て、娘が小さかった頃のことを思い出し、あたたかい気持ちになりました。

多賀谷 蠚裕(仮名)(たがや さゆう)さん
全身性エリテマトーデス、精神疾患 埼玉県在住 40歳

作品タイトル:「途絶えることの無い陰と陽」(絵画)

●受賞者コメント

私の絵を見て選んでいただきありがとうございます。
8年前の誕生月に免疫疾患の全身性エリテマトーデスと診断されました。私は歳のわりに我儘で、怖がりで、子どもで、入院しても先生を困らせたり、診察中に泣いたり、家族にもたくさん我儘を言いました。心配もかけました。
でも今、私はこの疾患になったことを嫌とは思いません。もちろん最初はいつものように泣いていました。でもいつのころからか、本当に最近ですが、全身性エリテマトーデスになり私は夢を見つけました。子供のころから微かに抱いていた夢を本当にしようって。
これから先辛いこと、苦しいことが何度もあると思いますが、私はこの体と一緒に夢をかなえるためなら、泣き虫な私も強くなれると、どれだけ強い雨が降ってもちゃんと歩いて行けると思っています。最後に、私は今、毎日朝を迎えて笑っています!!
今、生まれてきたことに感謝しかありません!!

●審査員 講評:社会福祉法人聖母会 聖母病院 皮膚科  部長 小林 里実 先生

とても繊細なタッチで描かれた芸術性の高い作品だと思います。しかも、難病と知り、怖くて痛くて、夜ひとり泣き暮らしたこと、それでも絵を描くことが好きで才能のある自分に気づき、画家になろうと前を向く勇気が湧いてくるまでのプロセスが、痛いほど伝わってきます。いばらのような混沌の中から抜け出そうとするあなたが、大変穏やかな表情で、夢へ手を伸ばしている姿に、惹き込まれ見入ってしまいます。腫れて痛そうな手にも色彩がのり、病気も自分の一部として享受する強さが芽生えたように見えます。そこまでくれば大丈夫、年々加速する治療の進歩とともに、是非とも病気を乗り越えて、絵を描く楽しみと夢を追求していただきたいと思います。

大西 裕次(おおにし ゆうじ)さん
尋常性乾癬、乾癬性関節炎 三重県在住 48歳

作品タイトル:「ハッピー ハッピー」(絵画)

●受賞者コメント

自分は8年位前に尋常性乾癬と診断を受けました。最初は頭皮に「できもの」のようなものができて、次第に体のあちこちに斑点が出るようになり、それに伴い体のいたるところが痒くなりました。しばらくすると足のかかとが痛くなり、のちに関節、特に右手の薬指が痛くなり大学病院にて治療を受けています。
関節炎により、天気の悪い時は、お箸も持てない時があります。自分の好きな絵筆も持てない時があります。体が楽なときに、その時の気分を表現したのが今回の作品です。評価をいただいて心から嬉しく思います。ありがとうございました。
これから先も長く大学病院膠原病科にお世話になると思いますが、いたみが少しでも消えて、絵の題目と同じように、ハッピーな気分で暮らしていけたらなぁーと思っています。いろんな病気を持っていますが自分に関わってくださる先生、看護師さん、友達、両親に感謝します。これからも一日一日を大切に、少しでも笑顔でいられるよう治療に専念します。本当にありがとうございました。

●審査員 講評:サルコイドーシス友の会 会長  佐藤 公昭 さん

尋常性乾癬と乾癬性関節炎の患者さんは、皮膚症状や関節の痛みが強く、日常生活に支障がでる場合があります。右手の関節が痛いという辛い症状をお持ちになっているなかで、アクリル絵の具を使い、細やかな点と線・幻想的な色で表現された美しい蝶と蜂です。関節の痛みがほんの少し落ち着いている瞬間に、筆を持って描かれた作品は、病気と向き合いながらも、ご自身のPERSPECTIVESを通じて、幸せな時間、喜び、希望などを、見事に表現されています。大好きな絵の創作活動を通して、これからも病気とともに前向きに生きていく、ハッピーな気持ちを大切にしていただければと願います。

榊原 愛 (さかきばら あい)さん
アトピー性皮膚炎 愛知県在住 37歳

作品タイトル:「skin」(絵画)

●受賞者コメント

私には症状が悪化した数年前、仕事もできなくなり、家からも出られなくなり、夜眠ることも、朝起きることも恐怖でした。一日中、自分のアパートの一室で1人で過ごさなければいけなくなりました。
その時に日々の時間を過ごすため、襲ってくるかゆみや痛みや恐怖や不安から、なんとか心を保つために始めたのが絵を描くことや編み物をすることでした。仕事もできない、人とも会えない、もしこの状態がずっと続くとしたら、自分はどう生きたいのか?を問い続けた時間でした。この経験があったから、今、以前とはちがう生き方をしていると思います。そんな転機のきっかけを作品として表現できたことがうれしく思います。
同じように先の見えない恐怖や不安と向き合わざるを得ない今を生きている方々が、自分の中の光をみつけて今を生きられますように。

●審査員 講評:認定NPO法人 日本アレルギー友の会 理事長 武川 篤之 さん

編み物と絵画を取り合わせた知的な感性。この作品が醸し出している多様な感情と訴求力の見事さに驚きました。そこには、アトピー性皮膚炎に、人知れず悩み・苦しみ、向き合って来た、作者の自分史の凝集があるのではないか。即ち、多様な細胞・皮膚・アトピック・スキンを連想させる網目の模様。鮮やかなピンク色の大小の花に託す温かみ、希望。一方、対比的な影が織り成す自己との葛藤、多様性を認める社会への期待と不安。それが、アレルギーがあっても笑顔で、自分らしい生き方を可能とし、輝かしい未来を実現できることを見事に訴えています。同病で悩む多くの患者さんへ、大きな生きる力となると思います。出来れば多くの人にリアルで見て欲しい作品です。

水谷 馨 (仮名)(みずたに かおり)さん
潰瘍性大腸炎 大阪府在住 36歳

作品タイトル:「ある春の日」(絵画)

●受賞者コメント

この度は素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。
娘を妊娠中に自分の食欲を抑えられず制限あるものを食べてしまった結果、潰瘍性大腸炎が悪化してしまい、お腹の中にいる娘には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
無事出産したものの、2ヵ月の絶食と入院生活。夫にも娘にも周りの人にもたくさん迷惑をかけてしまい、とても辛くて毎日泣いていました。
そんな娘が大きくなり、お花をプレゼントしてくれました。今は、食事制限とお薬を続けながら日々を過ごしています。この受賞を糧にさらに精進して絵を描いていきたいと思います。

●審査員 講評:ベーチェット病友の会 ベーチェット病研究班・製薬会社担当
香川県支部長 多田 加代子 さん

可愛い娘さんからタンポポを手渡されて受け取るお母様の手には、娘さんのご成長をしっかり見たい、見守りたいと、お気持ちや優しさ温かみを感じられ、とても素晴らしい作品だと思いました。淡い色合の線でさりげなく描かれています。
潰瘍性大腸炎を発症され、ご自身の身体へのリスクを負いながらも、出産・育児を行う決断をしたことが報われる日常の幸せを、この絵から感じました。
病気を克服しながら、現在はご家族の笑顔や笑い声が聞こえる喜びは、作者様の励みになっているのが伝わりました。
これからも大好きな絵を描き続けて娘さんの健やかな成長の作品を残してください。
ご受賞おめでとうございます。

総評

●美術家 佐久間あすか さん

前回に引き続き本プロジェクトの一次審査並びに最終審査を担当させていただきました。回を重ねるごとに募集作品が洗練されてきて、厳粛な場ではありますが、素晴らしい作品に出会えて、楽しみながら審査することができました。
今回の募集作品の特徴は、全体的に表現力がとても豊かな作品が多く、作品に優劣をつけるのが困難でした。良い意味で審査に時間がかかったのを記憶しております。
アートを通して、難病と闘いながらも、前向きに力強く前進していく思いが私たちの心に強く伝わってきました。同じ病で悩む方々にも、これらの作品は勇気や希望を与えていただけると思います。
そして、偶然にもこのプロジェクトに参加して、審査員でありながら非常に素晴らしい経験をさせていただきました。とても感謝しております。ありがとうございました。

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