次のCOVIDの解決を見据えて

まだ存在していない疾患の治療に取り組む

12万の化合物の中に立つR&D技術者のMichelle Szklaruk(ミシェル・スクラルク)。創薬プロセスの最初のステップの1つとして、科学者は化合物の可能性をスクリーニングします。

2020年9 月16日に米国本社のホームページに掲載されたオリジナルテキストの日本語翻訳版です。

将来起こり得るパンデミックに備えて

大きな問題の解決に向けて取り組む文化と、ウイルス学、低分子薬と抗体薬の専門知識・技術を併せ持つアッヴィの科学者たちは、将来出現するかもしれない世界的なパンデミックを理解しようと取り組んでいます。

COVID-19(新型コロナウイルス)が世界に衝撃を与えたとき、アッヴィの研究室のフリーザーの扉が開かれました。

「アッヴィや世界中のほとんどの人々がリモートワークをしている中、私たちの研究室では、COVID-19と闘える可能性のある化合物がないかを調べるために、化合物を取り出しては送り出すという作業をしていました。こうしたチームは私たちの最前線であり、交代制でしばしば週7日働いています。非常に早い段階で、彼らは適切な化合物の同定に取り組んでいました」と、アッヴィの創薬・科学技術部門担当のスティーブ・エルモア博士は言います。

John Williams(ジョン・ウイリアムズ)らアッヴィの科学者は、200万以上の化合物のライブラリーを利用することができます。これらの多くは、新しい治療法には至らなかったものの、将来、役立つ可能性のある科学的研究から得られたものです。

生物学者、化学者、およびバイオインフォマティクスチームは、最新の科学論文が発表されるたびに、それを読むことに終日を充てました。社内外の最高の知性が、将来起こり得る世界的なパンデミックについて、そして望むべくはその治療法についての理解を深めるために、アッヴィのチームは、数百もの化合物を共同研究者や学術パートナーに送りました。

アッヴィの科学者たちは、数十年にわたって蓄積してきたウイルス学と創薬の専門知識・技術をこの闘いに投入しました。そしてその両方が、5年後、あるいは20年後かもしれない次のパンデミック治療のビルディングブロック(基盤)となる可能性があります。

新薬は、創薬部門の科学者と研究者から始まりますが、この部門を率いるのが、創薬部門担当バイスプレジデントであるJC Gutiérrez-Ramos(JC グティエレス・ラモス)博士です。1,400人を超える彼のグローバルチームは、生物学的標的の研究、細胞/組織/動物モデルを用いた研究の実施、これらの標的を調節する化合物を医薬品にできるかどうかの判断など、疾患やウイルスについてできるだけ多くのことを知るため、研究に取り組んでいます。

社内外の最高の知性が、将来起こり得る世界的なパンデミックについての理解を深めるために、アッヴィのチームは数百もの化合物を共同研究者や学術パートナーに送りました。

「将来出現するであろう新興感染症は、現代の世界的な健康問題です。私たちは、このことに非常に強い関心を持っています。患者さんに対して、より多くの対応策を提供できるように、コロナウイルスのより広範なファミリーについて、より深い知識を得たいと考えています」と、グティエレス・ラモスは言います。

COVID-19の出現は突然と思われましたが、この分野の科学者にとってはそうではありませんでした。2003年に初めて報告された重症急性呼吸器症候群(SARS)も、2012年に初めて報告された中東呼吸器症候群(MERS)も、コロナウイルスによって引き起こされ、動物に由来するものでした。

次の新興感染症と闘うには複数のソリューションが必要となるため、アッヴィは、社内の能力、ナレッジ、専門知識・技術を活用するとともに、主要な学術機関と提携して、低分子と高分子の研究に取り組んでいます。

R&D ケミカル・サプライ・オペレーション部門のNora Ramales(ノラ・ラマレス)は、マサチューセッツ州ウスター、カリフォルニア州レッドウッド・シティ、ドイツのルートヴィヒスハーフェンをはじめとする世界のアッヴィの研究拠点に化合物を供給するチームの一員として働いています。 



その一例として、ウイルスの複製やウイルスと宿主の相互作用を阻害する方法の研究が挙げられます。感染が拡大するには、まずウイルスが宿主細胞に感染し、それをウイルス工場にして新たなウイルスをつくる必要があります。

アッヴィはまた、将来出現するであろうウイルスに結合して中和する抗体を何とか同定しようと、大規模な抗体ライブラリーの作成・構築も行なっています。

共同研究では、アッヴィは最近、ハーバード大学医学部と協力して、コロナウイルスや出血熱を引き起こすウイルスに焦点を当て、緊急性の高いウイルス感染症に対する新規治療薬の研究・開発を行ってきました。この提携は、免疫・免疫病理学、宿主標的型抗ウイルス薬、抗体治療、低分子治療およびトランスレーショナル開発の5つのモダリティにフォーカスしています。

「私たちの研究所の内外にはトップ科学者がおり、協力し合うことでウイルス性疾患とその最善の治療法についてより深く知ることができます。そうすれば、将来起こり得るアウトブレイクに、より良く備えることができます」と、R&D担当シニア・バイスプレジデント兼チーフ・サイエンティフィック・オフィサーのトム・ハドソンは述べています。

アッヴィの科学者は、あらゆる温度で保存されている液体、固体または粉末の化合物を要請できます。R&Dテクニシャンのエリック・ライスは、部屋サイズの冷凍庫の中で凍結した化合物のトレーを仕分けしています。

抗体研究では、ハーバー・バイオメド社、エラスムス医療センター、ユトレヒト大学と提携してモノクローナル抗体の研究に取り組んでいます。アッヴィにおけるこの分野の研究は、免疫・ウイルス部門担当副社長であるJochen Salfeld(ヨッヘン・サルフェルド)博士が主導しています。ヨッヘンは、20年以上前に最初のモノクローナル抗体の1つの創薬研究チームを率いていた人物です。

この提携の目的は、完全ヒト化抗体を産生する遺伝子組換えマウスを利用してパートナー企業が発見した、SARS-CoV-2(COVID-19の原因となる新規ウイルス)のスパイクタンパク質の保存領域を標的とする完全ヒト中和抗体の開発です。

「大きな問題に取り組むのが私たちの文化です。世界がこのような未曾有の重大な危機に直面している中、当社のR&Dチームは、次のCOVIDに備えて、それぞれが挑戦しています。アッヴィでこれまでに行われた仕事は素晴らしいものでしたし、私たちのチームや医療エコシステム全体がこれほど迅速に協働するのを見たことがありません。次回は、より良い備えができるでしょう」(ハドソン)