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発表者インタビュー

がんに子育て、孤独を寄せ付けないコツ

 

桜林 芙美 (さくらばやし ふみ)さん(41歳)

(プロフィール) 
35歳で乳がんと診断される。外科手術や放射線治療、薬物療法のあと肺転移も見つかり、薬物療法を受ける。現在、がんが微小のまま3年以上維持していることから休薬し、乳房再建にチャレンジ中。
がん治療、子育て、仕事を同時に実践する経験から、がんになっても孤独にならず、生きやすい未来づくりのために活動する「AYA GENERATION+group」を設立。交流会や患者会の紹介などを通し、必要な人や場所をつなぎ、必要なものをつくり出すことを目指して活動中。

がん治療に子育てと仕事、孤立しやすいAYA世代とは

思春期から子育てや仕事に忙しい15~39歳をAYA世代といい、私は35歳で乳がんの告知を受けたあと肺転移も見つかりました。がんのせいで3人の子ども達には、自分が思い描く母親として接することができず、「がんのばかやろう!」と叫びたくなるときもあります。
若い世代のがん患者は同じ立場の人が少なく、不安のなかで孤独を感じてしまう人もいます。また、周りから見えるより、実際にはその2倍以上は頑張りすぎているのだろうと思います。
私は運よく、患者会やがん患者の先輩方に出会うことができて助けられました。そして、私たちの経験した複雑さや課題というのは年齢などの垣根を越えて、多くのがん患者さんのために活かせる要素が詰まっているのではないかと気付いたのです。

コロナ禍が起こした奇跡的な「つながり」

私が代表をつとめる団体では、その人にあった患者会を紹介するほか、がん患者さんのモヤモヤした想いなどを気軽にうち明けあう交流会を開催しています。本当はリアルに五感をつかって会いたいのですが、コロナ禍でオンライン交流会が当たり前のようになってきました。
そこでは、体調がすぐれないと音声だけで参加される人もいます。また、多くの交流会があるなかでたまたま同じ珍しいがんにかかっている参加者と会えたり、参加者がそのあとに運営の助けになってくれたりすることも。オンラインだからこその意外な出会いや、リアルでは実現しにくい出会いができるといった奇跡的な「つながり」がそこにあるのです。

「がんは世話がやけるなぁ」と気持ちを切り替える!

がんが私のなかから完全に消えないのなら、ある意味、がんと良い関係性を築いていけば生きやすくなるのかなと考えるようにしています。「がんでなかったら」と悔しくなったときには正直に気持ちを吐き出し、落ち着いてきたら「がんは世話がやけるなぁ」と気持ちを切り替えて何とか過ごすのです。たとえば、コロナ禍で外出できず自宅でゲームばかりやってしまう子ども達に対して「しょうがないな」と思いませんか?どちらも世話がやける、しょうがない部分では似ているのだと、あえて思うようにしています。
これからも活動を通じてがんとともに生きていく人とつながり、私自身も励みをいただけたらうれしいかぎりです。