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発表者インタビュー

いち早くSOS発信を! 正しい知識と適切な声がけが力になる

 

大穂 その井(おおほ そのい)さん(58歳)

(プロフィール) 
2014年に乳がんを発症し、外科手術をおこなったが再発。抗がん剤治療をしながら両親を介護する壮絶な体験を「がん老介護」と名付け、講演活動、新聞・Web等での掲載多数。腫瘍内科医とともに主宰するメディカルスタッフ向けのオンライン情報発信も行っている。現在、IT企業を経営。

がん患者にとって“つらい”声のかけられ方とは?

がん患者の多くが“つらい”と感じる声のかけられ方を知っていますか?もう死んでしまうかのような「かわいそう」や、頑張り方が分からないのに「頑張って」、根拠なく「大丈夫だよ」、心配する気持ちで「休んで」などですが、これは意外と“つらい”のです。
一方で“うれしい”声がけは、「何か困ったことがあったら遠慮なくいつでも言って」というもの。これは、仕事やできることの選択肢を奪われることなく、私たちの心の支えとなります。

オンラインの先に、闘う友の姿と正確な情報

オンラインの普及により時間や空間、世代を超えた世界が広がりました。現実で一度も会ったことのない友のなかには、がんのほか難病や障害をもつ人もいます。
ときには化学療法のあと横になったままの状態や、酸素吸入をしながら参加する人もいます。また、鎮痛剤の使いかたについて誤解や不安をもつ人、痛みの表現方法が分からないことで悩む人も。そこではアドバイスも盛んに行き交い、些細な日常の悩みごとも共有できて解決策が見つかることもあります。さらに専門医たちが発信する情報に直接触れて知識を得ると、間違った情報に惑わされない強さにもつながっていくはずです。
私のように専門医と連携し、看護師や薬剤師、介護士、機能訓練指導員といった多くの関係者向けに情報発信する活動が拡大しつつあるのも、コロナ禍がきっかけと言えるかもしれません。

「がん老介護」の時代へ

私は52歳で乳がんを発症し手術、54歳で再発した直後に父が脳梗塞で倒れ、母は認知症となりました。一人っ子でお一人さまであるため、両親の介護とがん治療が、同時進行で私一人にのしかかってきました。56歳で50クールにも及ぶ抗がん剤の治療を終えたとき、自宅で父を看取りました。
この「がん老介護」は私の造語です。今後、自分のがん治療をしながら親を介護する人が急増するでしょう。今は、苦境に立たされたときに、どうやって気持ちを外に出しながら立ち直っていけばいいのか、その方法を発信できたらと思い活動しています。